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「六甲枝垂れ」の見学

神戸・六甲山頂の「自然体感展望台 六甲枝垂れ」に行ってきました。
この日は風花が舞う、曇りぎみで風の強い日でした。
この展望台の設計は広島の建築家 三分一博(さんぶいちひろし)さんで、2010年7月に竣工しています。 この建築はJIA(日本建築家協会)に登録している建築家のうち、40歳以下の人達を対象にして行われたコンペで設計案を決定したそうです。
   この展望台のコンセプトは山の上に立つ1本の大きな樹。枝垂れをイメージさせるステンレスのフレームにヒノキの「枝葉(えだは)(20φと25φ)」が展望台を覆い、中央部には大木の幹のような空間が貫いています。床や壁はすべて、ヒノキの無垢材。展望台の下部と棚田のようなアプローチ部分は、瀬戸内海の島で採れた花崗岩の石積みです。
   螺旋状のバリアフリーのスロープ(回廊)が建物外部、および内部に至るまで張りめぐらされ、角度を変えながら周囲の景観を俯瞰できる構造となっています。建物内部には、ガラス越しに下界が眺望できるスペースや、薄暗い建物中心部内部(風室)からは、煙突の内部から見上げるように、頭上にぽっかりと円形に切り取られた空が覗きます。
  そして外観だけでなく、建物の隅々にまで、自然を感じるさまざまな工夫が施されています。
例えば、ヒノキの「枝葉」には、気象条件がそろえば、冬には樹氷が着氷します。北側の山々に向かって開いた「風穴」では、雨の日には雫のカーテン、冬には氷柱(つらら)を観測することが出来ます。さらに、冬に凍らせた天然の氷を地下の氷室(ひむろ)に貯蔵しておき、暑い夏の時期には、氷室内に風の流れを取り込み、展望台の中心部分の部屋「風室(ふうしつ)」のベンチに座って、氷室を通った涼風を体感することができます。
  フレームの処どころの配置された竹(角穴付き)からか又はフレームからか普通の風と違う独特の「風の音」も聞こえてきます。建物内を見学していると不思議な感覚に囚われます。
ご興味のある方は是非一度行ってみて下さい。
詳しくは   http://www.youtube.com/watch?v=c9PsUGXl3Dc     (KAWA)         

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先週ですが…念願の「桂離宮」に行って来ました。前々日までの大雪も止み快晴です。 朝早く出発したこともあり時間調整の為「湖東三山・西明寺」を見学の手始めとしました。 本堂や三重塔は鎌倉時代初期に建立され、国宝に指定されています。 釘を使わない純和様建築です。 この寺は紅葉の美しさでも有名です。 ←西明寺 三重塔  まだ時間的に余裕もあり「多賀大社」「石山寺」と廻りました。 「石山寺」は紫式部が「源氏物語」を書いたところと伝えられてもいます。 ここの多宝塔は硅灰石と共に石山寺を表す写真によく登場する建築物です。 下層が方形、上層が円形の平面に裳階(もこし)をつけ、宝形造の屋根をのせた二重の塔。 上下左右の広がりが極めて美しく洗練され、均斉のよくとれた建築です。これも国宝に指定されています。 ←石山寺 二重の塔 いよいよ「桂離宮」の見学です。宮家の別荘とでも言いましょうか。火災に遭わず約400年ほとんど完全に創建当時の姿を伝えています。この時の見学グループは13名です。(ラッキー) 見学は普通予約となりますが、当日受付もありました。古書院や新御殿の内部は非公開ですが、案内員と苑内を1時間ほど掛けて廻ります。(最後尾に私服の皇宮警察官もつきますが…) なにせ「桂離宮の庭」は京都随一です。 まず御幸門から外腰掛(待合)を見学します。繊細で開放的なつくりです。 ←桂離宮 外腰掛(御腰掛) 苑内にはいくつかの小亭(茶屋)があります。 春夏秋冬で使い分けています。 松琴亭は修理中で見れませんでした。 笑意軒は田舎屋風の茶屋です。三室は襖で仕切られていますが、天井は一枚で室内を広く見せています。各茶屋には舟着場があります。 (参考までに……池の水は桂川の川水ではなく井水を使っているとの事) ←桂離宮 笑意軒 見学コースの途中に新御殿の前を通ります。 雁行型は何度かの増築のあとであり、高床は桂川の氾濫に対応したものです。 (実際に何度か氾濫にあっています) ブルーノ・タウトが 簡素で機能的な美しさを絶賛しています。 一切は清純であり限りなく美しい…とも。 「日本美の結晶」とも言われています。 ←桂離宮 新御殿 有名な月見台です。その前には「月

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