先週末、勝興寺での技能伝承講座、小川三夫棟梁の講演会に行ってきました。小川氏は法隆寺宮大工の西岡常一棟梁唯一の内弟子です。高校生のとき法隆寺をみて感動し宮大工 を志したそうです。
21歳で入門、30歳で独自の徒弟制度による「鵤工舎」を設立。2年前に一線から引退されましたが「現代の名工」です。全国から有名な棟梁達(紹介されてもよく分からないが…)も集まっていました。御婦人や親子、高校生もいました。全国から300人を超える聴衆で広い 御堂が満杯です。氏のことは著書「木のいのち 木のこころ(地)」で人なりを想像していましたので是非聞きたい講演でした。最近は30人/年ほどの弟子入り希望だそうですが、数年前までは300人/年ほどの弟子入り希望者があったそうです。おそらく日本で一番有名な棟梁の一人と言えます。演題は「不揃いの木を組む」です。
木の話半分、弟子や徒弟のしくみ話半分です。「木組とは」木の気を移し 組むこと。「木組は立ち木の状態(方位)に合わせ、寸法で組まず木の癖で組む」法隆寺大工の口伝との事。弟子の話では「不器用一心」が一番上達するとの事。他を見ず、どっぷりと浸かるとウソ偽りのないものが出来る。言葉や数式ではなく、体にしみこませた記憶と勘によってしか伝えられない想いに執念を感じました。
氏は国泰寺の三重塔を造っています。どのようなものか見たくて、講演会後寄ってきました。本堂の後の山中にその塔(利生塔)はあります。こじんまりとした均整がとれた塔です。周囲の緑に映え、静寂のなか時鳥の鳴き声も印象的でした。